Mickey-sonのホーム山の部屋登山の紀行→信州→剱岳 真砂岳 大汝山 雄山 浄土山

登山の記録  信州

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剱岳~真砂岳~大汝山~雄山~浄土山 縦走

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【日  時】 2019年7月24日(水)~7月27日(土)
【山  名】 剱岳(つるぎだけ)2999mH 真砂岳(まさごだけ)2861mH 大汝山(おおなんじやま)3015mH 雄山(おやま)3003mH 浄土山(じょうどさん)2831mH
【山  域】 立山連峰
【天  候】 3日間 晴れ
【メンバー】 もりごん、にっしゃん、mHickey-son 3名
【コース 】 移動 24日(水)
10:10集合→高速道→北神戸線→六甲北道路→中国道→舞鶴若狭道→北陸道→千寿ケ原駐車場16:15

一日目 25日(木)  所要時間:4:35  水平歩行距離:5.2Km 累積上り:579m 下り:532m
立山駅(475mH)7:00→美女平駅(977mH)7:10→室堂(2450mH)8:00

室堂(2450mH)8:20→みくりが池(2420mH)8:30~:35→みくりが池温泉(2415mH)8:40→雷鳥荘(2385mH)9:00→雷鳥沢キャンプ場(2275mH)9:15→雷鳥沢坂(2260mH)9:30→別山乗越/剱御前小舎(2760mH)11:00~11:35→剣山荘分岐(2565mH)12:35→剣山荘(2470mH)12:55

二日目 26日(金)  所要時間:10:30  水平歩行距離:8.0Km 累積上り:1212m 下り:942m
剣山荘(2470mH)4:55→一服剱(2618mH)5:15~:20→前剱大岩(2730mH)5:50→前剱頂上(2813mH)6:10~:30→前剱の門(2780mH)6:50→平蔵の頭(2855mH)7:15→平蔵のコル(2845mH)7:25→カニの縦ばい」(2845mH)7:30→剱岳頂上(2999mH)8:05~:20→カニの横ばい(2980mH)8:35→平蔵のコル(2845mH)8:55→平蔵の頭(2855mH)9:05→前剱の門(2780mH)9:25→前剱大岩(2730mH)9:45→一服剱(2618mH)10:20~:25→剣山荘(2470mH)10:45~12:00→剱沢小屋(2460mH)12:25→剱沢キャンプ場(2510mH)12:35→別山分岐(2640mH)13:05→剣御前小屋(2760mH)13:40~14:00→別山巻き分岐(2825mH)14:15→真砂乗越(2750mH)14:45→内蔵助分岐(2805mH)15:10→内蔵助山荘(2790mH)15:25

三日目 27日(土)  所要時間:5:10  水平歩行距離:6.2Km 累積上り:507m 下り:877m
内蔵助山荘(2790mH)5:50→真砂岳頂上(2861mH)6:05→富士ノ折立(2780mH)6:50→大汝山頂上(3015mH)7:10→雄山頂上(2991.8/3003mH)7:35~8:10→一ノ越分岐(2705mH)8:55→浄土山南峰(2840mH)9:30~:35→浄土山北峰(2831mH)9:50→展望台分岐(2665mH)10:25→浄土山分岐(2450mH)10:45→室堂平(2450mH)11:00

室堂(2450mH)12:00→美女平(977mH)12:40→立山駅(475mH)12:50→千寿ケ原駐車場14:00→帰宅19:30

移動

 過去の夏山では小屋での混雑によりあまり良い印象を持っていなかったのでしばらく夏登山からは遠ざかっていたが岩の殿堂と言われている念願の「剱岳」登山のお誘いがあったので久しぶりに参加することにした。登山ルートは「別山尾根ルート」である。

 車で朝10時に出発。運転交代しながら六甲北神戸線、舞鶴若狭道、北陸道を走行して立山ICで高速を降りる。途中のコンビニで明日からの昼食用を調達して16時15分頃に立山駅横にある千寿ケ原駐車場(無料)に到着。すでに9割ぐらい車で埋まっている。早速、今夜宿泊する立山駅前にある「千寿荘」に荷物を預けてから「称名滝」の観光に向かう。称名滝は弥陀ヶ原台地から一気に流れ落ちる滝であり「日本の滝百選」、「日本の音風景百選」に選ばれている。

 称名川の右岸沿いに上流に向けて遡り、無料の称名平駐車場に車を止め、そこから歩いていく(1.3Km先/30分)。高さ400mの絶壁になっている「悪城の壁」を右対岸に眺めながら次に左側に大日岳への登山口を見ると行く手に川に架かる橋が見えてくる。この辺りからは滝に近づくにつれ、水しぶきが霧となって体を濡らしてくる。音もすごい。更に奥に進むと標高1065mHにある落差350mHの4段滝「称名滝」に到着。右には落差500mの「ハンノキ滝」が細いながらも流れている。帰路に橋で左岸に渡ると「弘法」に至る「八郎坂」登山口があり、この上部には「称名滝」の展望広場がある。滝までの道はすべてコンクリートで舗装されており歩きやすい。

 忙しなく宿に戻り、近くの温泉場から運んできたというぬるぬるした感触の温泉水でひと風呂浴びる。駅前で買ってきたビールで一服して6時半からの夕食に間に合わす。明日からは山小屋での不自由な生活となるため一人部屋(一泊二食9300円/人・室)に変更し、ゆっくりとまた安心していびきをかきながら就寝する。

 宿の階段の踊り場に熊の毛皮を飾っていたので聞いてみると駅前にはクマが出没するらしい。駅横には名水「熊王の清水(くまおうのしみず)」の水補給場もある。

立山駅横の無料駐車場→ 絶壁の「悪城の壁」→ 称名滝→

1日目

 6時頃から駐車場には続々と車が到着している。駅前ではすでに何人かがケーブルカーの切符を買うために順番待ちをしている。もりごんさんが並んで購入してくれた室堂までの切符(往復で4310円)で7時に立山駅をケーブルカーで出発して美女平でバスに乗り換える。バス車中からは残雪を抱いた薬師岳のなだらかな姿が見えると気分が高まってくる。8時に室堂タームナルに到着。登山届を提出した後、3階の屋上に出ると雪渓を抱いた立山連峰が目の前にドーンと広がっている。ここに来るのは実に20年ぶりであるがやはりスケールの大きさに感動する。晴天、無風の絶好の登山日和で半袖でも全く寒さを感じられない。

 早速、目の前にある名水百選の一つ「玉殿の湧水(たまどののゆうすい)」でペットボトルに冷たい水を詰めてから「みくりが池」に向かっていざ出発。ザックの重さは水を入れて12Kg。多くの観光客と一緒に室堂平の石畳道を歩いていく。左手下方に見える地獄谷は現在、立ち入りが禁止されているが硫黄のにおいが漂ってくる。まだ残雪の残るみくりが池に映る立山連峰を撮影するが残念ながら水面は風で揺れているので会心の写真は無し。

 雪渓が彩りを添える見事な山崎カールを眺めながらみくりが池温泉や雷鳥荘を左に見て長い下り道を下っていくと色とりどりのテントが張られている雷鳥沢キャンプ場となる。その先で称名川源流となる「賽の河原」からの雪解け水が流れている沢を木橋で渡る。分岐が現れ、右は真砂岳方面へ、左に進むとまた分岐となり、直進は新室堂乗越(大日岳方面)へ、我々は右に折れて雷鳥坂に入っていく。整備された道はキャンプ場まででここからいよいよ本格的な登山道となる。

 尾根道である雷鳥坂では左右の雪渓を眺めながら大小様々な岩がゴロゴロと転がる登山道を登っていく。所々に順路を示すマーキングが在り、それにに従ってひたすら登っていく。この雷鳥坂は最初こそ緩やかな道であるが結構、手強い急坂である。右手の立山や室堂平、左手に大日岳の景色に癒されながら休み休み黙々と登っていく。ガレ場となり周りがハイ松になると下山してくる何人かが雷鳥を見たと言っていたが結局、我々は別山乗越に到着するまで遭遇することはなかった。

 石積みの壁が見えると別山乗越/剣御前小舎に到着、先陣のためか登山者は少ない。キャンプ場からは500mHほど登ってきたことになる。目の前には剱岳がドカーンとそそり立っている。小舎横にテーブルと椅子が置かれていたのでここで昼食とする。湯を沸かし持参してきた乾燥食やパンやスープなどで腹を満たす。そうこうするうちに周りには登山者が増えてくる。ここからはルートが5つに分かれているが剣山荘には3ルートある。

切符購入のため並んでいる立山駅前→ ケーブルカーに乗車→ 目の前に立山連峰が→ 
室堂平をいざ出陣→ みくりが池に映る富士の折立~雄山→ みくりが温泉と剱岳~別山乗越→
右手奥に天然記念物の山崎カール→ 左手に立ち入り禁止の地獄谷→ みくりが池温泉と別山に至る雷鳥坂→
眼下に雷鳥沢キャンプ場が見えてきた→ 雷鳥沢キャンプ場を横切る→ 賽の河原を流れる称名川源流を渡る→
取っ掛かりは緩やかな雷鳥坂→ 振り返ると山崎カールと奥に室堂平→ 右手には富士の折立~雄山~浄土山→
まだ別山乗越は見えないぞ~→ 人けが無い剱御前小舎(北西側)に到着→ 別山乗越からガスがかかった剱岳が正面に→

 昼食中に左側にあるトラバースルート(案内板にアイゼンが必要)からアイゼン無しの女性が上がって来たので、もりごんさんが雪の状態を確かめ昼食後、トラバースルートで剣山荘に向かうことにする。雪渓を5度ほど横断するが何れもちゃんと雪渓カットしていてくれているのでアイゼン無しでも問題なく横切ることができる。それでも踏み外せば奈落の底であるので慎重に横切っていく。この付近から今後度々出会う単独行動のSさんに写真を撮ってもらう。

 3度雪渓を横断してからハイマツが茂る付近で一羽だけであるが待望の雌の雷鳥が現れる。カメラを向けてもいつものように意識はしているが逃げる気配は全くない。

 最後の雪渓を渡ると案内分岐が現れ、剣山荘は右に折れるように指示されている。そのまま直進すると一服剱につながっている。剣山荘に近づく頃には周りはナナカマドの群生となり、白い花を咲かせている。秋には真っ赤な紅葉がみられるのだろう。山荘手前の池(池塘?)には逆さ剱岳が映っている。写真をパシャリ。

 剣山荘に到着後、宿泊手続き(夕食+朝弁当=10500円)を行った後、まずは小屋前で正面に見える別山を眺めながらビール(800円/500cc、600円/350cc)で乾杯。もりごんさんは山では禁酒。小屋はまだ新しい感じで(2007年7月再開)清潔である。また宿泊客も混雑していなくてゆっくりできる。特筆すべきは温水シャワーが男女それぞれ3つあり、汗を流すことができることである。また布団カバーもミズノのブレスサーモを使っている。トイレも水洗で今までの山小屋のイメージはない。部屋は2段ベッドだが全部埋まることはなかった。今まで夏山は一人/半畳の嫌な思い出ばかりであったので夏山は避けていたのだが大分意識が変わってきた。ロケで宿泊したのだろう、食堂には映画「剱岳」のスタッフメンバーの色紙が張られていた。

 夕食では高山病の気があるのかあまり食欲が無い。明朝は5時出発予定だが小屋の朝食準備が5時30分からなので朝弁当を手配をしてもらい、夕食後に受け取る。メインザックは小屋で預かってくれるので明日のためにサブザックを取り出し、水と朝弁当と飴とハーネス等を準備して7時半には就寝する。

 夜中1時半頃に目覚め、外に出てみると星が瞬いていたが半月夜であるため満天の星空とまではいかない。寒さは全く感じられない。

 山荘でヘルメットのレンタル(500円)があり一度だけであれば買わずにここで借りるほうが安上がりである。小屋では携帯電波はドコモがかろうじて繋がる程度である。

雪渓をトラバースして剣山荘に向かう→ ついに雷鳥を見かける→ 雪渓をカッしてくれた道を進む→
奥に剱岳と眼下に剱沢小屋とキャンプ場が→ 正面に剱岳と剣山荘が見えてきた→ 剣山荘へは右に折れる→
剣山荘とバックに前剱と八ッ峰→ 剣山荘と池塘に映る剱岳→ 剣山荘に到着→
おいしいビールで乾杯→ 剣山荘の寝床 リュックは廊下に置く→ 夕食+ご飯+味噌汁→

2日目

 いよいよ本番の朝である。天気は上々で風も無く、寒さも全く感じられない絶好の登山日和である。前庭からは五竜岳や鹿島槍ヶ岳が朝日の中、シルエットとして浮かび上がっている。4時55分、ザックを小屋に預けて小屋左手からスタートく(・ω・)ノ。滑り止め手袋をはめてヘルメット(私は自転車用)をかぶり最小限の荷物を入れたサブザックを背負い軽快に登ってい。両手を使っての岩場歩きとなるためストックは置いていく。すでに多くの人達が先行している。高山病対策として大きく息を吐きだしながら歩いていく。服装はTシャツの上にシャツを一枚羽織るだけで十分である。

 コバイケイソウの群生地を左に見て朝日を浴びながらの気持ちの良い登山であるがすぐに#1鎖場となり、その先で左からの「クロユリのコル」ルートと合流する。#2鎖場を過ぎると「一服剱」となる。前方に「前剱」や「剱岳」がドーンと現れる。振り返ると眼下には朝日に照らされた剣山荘、まだ影の中にある剱沢小屋やキャンプ場が、左後方には大日岳の展望である。ここまでは鎖が必要ない程度の岩場である。

 「一服剱」から一旦下っていくと尾根道は広々としたガレ場となる。左側は切れ落ちた岩場で右側は雪渓となっている。前方には見上げるような岩場の「前剱」がそびえたっており、最後の登りは大変そうである。既に多くの人がその頂上にいるのが見える。一旦、尾根筋を離れ右にトラバースして#3の鎖場で垂直登行して前剱大岩をクリアして稜線に出る。更に#4の鎖場で斜面を登って再び稜線に出ると「前剱」に到着。ここで小屋で準備してくれた弁当で展望を楽しみながら朝食とする。

 剱岳ルートガイド地図 
出発前の小屋前からの朝焼け 五竜岳と中央に鹿島槍ヶ岳→
朝日を浴びた別山をバックに剣山荘が下に→ 「クロユリのコル」と合流→ #2鎖場に向かう→
一服剱に到着すると「剱岳」がみえてくる→ 振り返って眼下に朝日に照らされた剣山荘→ 左後方に大日岳 が→
靄っているが富山湾も見える→ 左(西側)の中俣は切れ落ちている→ 右(東側)は武蔵谷雪渓→
「前剱」を目指してガレ場を登っていく→ 振り返って「一服剱」を見下ろす→ 「前剱」はまだまだ遠い→
#3鎖場で「前剱大岩」を抜ける→ 振り返ると「前剱大岩」の向こうに別山→ #4鎖場を超えると「前剱」が目の前→
「前剱」で「剱岳」を眺めながら朝食とする→ 中央部に室堂平と左奥に薬師岳→ 眼下に剱沢小屋と剣山荘 奥に別山と雄山→

 朝食後、下った鞍部には切れ落ちた尾根すじに架けられた長さ4m程のグレーチング橋と#5鎖場の岩壁に張り付いて横歩きに進む場所であるため女性陣による渋滞が発生中。これ以降、しばらくは待ち時間が出てくる。その岩を左回りに回り込んでから#6鎖場で下っていくと再び鞍部の「前剱の門」となる。

 #7鎖場では斜面に鉄筋を打ち込んだだけの足場が何箇所か設置されている。足の順番を間違えないようにしないと足がコンガらってしまう。前の人の行動を参考にしながら慎重に上っていく。その左隣には下山用の垂直に下っていく#12鎖場が見えている。ここを登りきると「平蔵の頭」である。

 平蔵谷の雪渓と岩壁の隙間をすり抜けて、いよいよ難関の#9鎖場「カニの縦ばい」に差し掛かる。想像していたより案外簡単にクリアできた。しかしこんな岩だらけの所にもあちこちで可憐な花が岩場に張り付いて花を咲いている。和みである。登りきると左からの早月(はやつき)尾根ルートと合流してから尖った岩が乱立する岩稜を抜けると「剱岳」頂上となる。

 ついに念願の剱岳に登頂\(^o^)/。頂上は岩がハリネズミ状態であるが比較的広く、立派な祠の前で皆さん記念撮影に余念がない。どういうわけか祠にはちゃんと機能しているスターウォーズのライトセーバーが置かれており、それを持って記念する人達もいる。すでに登頂していたSさんに集合写真を撮ってもらう。三等三角点は祠から少し北側の岩の間にあるので記念のタッチをする。しかし登頂する前頃からガスが周りを立ち込め、残念ながら展望は全く無しのため感動も今一つ。待ってもガスが晴れる見込みが無さそうなので休息の後、下山を開始する。

「剱岳」はまだまだ先→ 橋と#5鎖場で渋滞→ #6鎖場で下っていく→
前剱の門→ #7鎖場 左の鎖は下り用の#12→ #8鎖場→
平蔵の頭→ カニの縦ばいの遠景→ カニの縦ばいの#9鎖場→
左からの早月尾根と合流→ 頂上手前の尾根道→ 剱岳登頂!→
 
ガスの中の頂上付近→ 錫杖があった辺り?待望の三等三角点→

 下山は時々下山専用のルートがあり、まずは#10鎖場で有名な「カニの横ばい」を通過しなければならない。しかしここも特に問題無くクリア。次に垂直に近い21段のはしごを下り、更に#11鎖場で垂直の壁を鎖に捕まり慎重に下っていくと平蔵のコルとなる。やっと平たん路になると行く手に雷鳥が現れる。しかも雄、雌の3匹である。シャッター。やはりガスがかかると出てくるようだ。#13鎖場で朝の4mの橋を迂回してから登り返し、次に「前剱」の迂回ルートで腹を巻いて#4鎖場へと下っていく。この頃になるとガスは無くなり、周囲の展望は開け、行く手には「一服剱」が見えてくる。ここでも雷鳥の親子が花をついばんでいるのに出くわす。再び数多くシャッター。

 疲れた足にこたえる「一服剱」へのきつい登りが待っている。これを超えると後は下りだけであると自分に言い聞かせ登っていく。休息後、剱沢方面を眺めながら下って剣山荘に無事到着。程よい達成感。\(^o^)/

 預かってもらっていたリュックを受け取り、小屋前のテーブルで無事を祝してビール乾杯。持参してきた食糧で昼食、休憩をとる。昼食を済ませ、リュックを詰め直し、出発。まずは剱沢小屋、剱沢キャンプ場経由のルートで本日の宿、内蔵助山荘を目指す。

 剱岳の岩場登山は安全のためハーネス+カラビナを付けることに越したことはない(落ちたら一巻の終わり)が結果的には岩場登行経験がある人であれば三点支持を実践すればハーネスを使わずとも登山することができるだろう。しかしストックを持ってこなかったためと緊張のためもあってか体力の消耗は結構大きい。ストックは道筋に置いてあるのを時々見かけるので多分鎖場で邪魔になったのだろう。
 しかし、最も事故が多いのは難所の「カニの縦ばい」、「カニの横ばい」でなく一服剱と前剱を越えた先にある前剱の門との間の区間らしい。やはり難所以外は安堵感で注意が損なわれてしまうのだろう。ルートはペンキでマーキングされているのでそれに従い登っていけば問題無い。

#10鎖場の「カニの横ばい」ルートに突入→ 垂直に近い21段の梯子を下る→ 更に梯子下の#11鎖場を下っていく→
#12鎖場を下っていく→ 赤い眉毛の雄、雌の雷鳥が行く手に現れる→ #13鎖場で登り返す→

 Sさんにお別れして小屋前で真砂沢、仙人池への分岐を左に見て、まずは剱沢小屋を目指す。剱沢小屋からは剱岳全体を眺めながら過ごすことができるのでここで泊まるのも良いかもしれない。ここからも真砂沢、仙人池方面へのルート(10年前に真砂沢、仙人池を経由して水平歩道から欅平まで縦走した懐かしのルートである)がある。

 広々としたキャンプ場を過ぎてから直接、別山に向かうコースは見た目にもかなりの急勾配のようである。剱岳の登山で、ことのほか体力を使ったので疲れが出てきていたので、とてもじゃないが登る気が起きなくなる。またもりごんさんにも疲れを訴えたので比較的勾配が緩そうな別山乗越(剱御前小屋)経由で別山に向かうことに計画を変更する。

 水を飲もうとした時にペットボトルを剣山荘に忘れてきたことに気づく。剣山荘で出発前に水を補給した後、トイレに行ったため、置き忘れてしまっていた。もう少し早く気づけばキャンプ場の水場で別のボトルに水を補給できたものを。年とともに忘れっぽくなってしまった。いつも注意しているのだが更に注意が必要!にっしゃんに少し分けてもらって足を進める。

 剱御前小舎に到着後、小舎で水をお願いしたが売り物(500cc/500円)しか手に入れることができなかった。これならビールを買ったほうが元気が出て良かったかも。休憩中の話し合いの結果、もりごんさんと私は別山への登頂を諦め、別山に登らず手前でトラバース、体力のあるにっしゃんは一人で別山の南峰、北峰を制覇しに行くことに決定。しばらくはみんなで別山方面への上りをとぼとぼと登っていく。

 「残雪期はキケン」と書かれた標札でにっしゃんと別れ、右方向に進み別山をトラバースする。メイン稜線に合流した後、左側に続く広々とした雪渓と右側の山崎カールを眺めながら気持ちの良く平坦な尾根道を内蔵助山荘へと足を進めていく。富山湾は雲の中。

 内蔵助岳への最後の登りの途中で山荘への案内があり、左に折れていくと内蔵助山荘(10500円/一泊二食)に到着。ザックを廊下の棚に置き、夕食まで時間があるため肌寒い中、小屋前からしばらく富山湾と沈む夕日を眺めて過ごす。夕食は案内に従いネパール人らが給仕する内蔵助山荘名物のなめこの味噌汁をお代わりしながら食事を終える。

 名古屋に向かって台風6号が来ているというので夕食後、長野放送しか入らないテレビで天気予報を見るが明日は長野の山はほとんどの地域で雨模様との予報。夜中に目を覚ますと外はビュービュー強い風が吹いている。これでは明日は雨かなと雨具の準備を考えながら再び眠りにつく。

ナナカマドの中を進む→ 左奥に剱沢小屋→ 剱沢小屋近くの池で剱岳にお別れ→
剱沢キャンプ場→ 別山頂上と剱御前小舎への分岐 右へ→ 剱御前小舎裏から雄山への縦走路→
まずは一緒に別山方面に向かう→ にっしゃんが一人別山に向かう→ 雪渓の向こうに内蔵助山荘が見えてきた→
右側に山崎カールと奥に室堂→ 内蔵助山荘分岐で左へ→ 内蔵助山荘に到着→
別山と奥に八ッ峰→ ネパール人のスタッフがいる食堂→ なめこ味噌汁付きの夕食
内蔵助山荘の前庭から 富山湾方面の夕焼け→

3日目

 朝4時半に起きると予想に反して少し雲がかかるも快晴である。また寒さもほとんど感じられない。今日も絶好の登山日和のようだ。アルプス方面を含め全方向で素晴らしい眺望である。残念ながら富士山の顔を拝むことはできなかったが。今日の登山は一安心。後は台風が遅れてくるのを願うばかりである。小屋のサービスでお茶は前日にボトルを置いておけば400ccまでは無料で入れておいてくれる。しかし水は有料なので「生水は注意」と書かれている洗面所の水を補給して出発する。

 朝の眺望を楽しんだ後、朝食を済ませて5時50分にTシャツだけで小屋を出発して20分ほどで真砂岳の頂上となる。360度の大パノラマ。行く手にはこれから向かう富士ノ折立と雄山が、振り返ると剱岳も別山の上に顔をのぞかせている。遠くには後立山アルプス連峰が眺望できる。天候といい、気温といい最高の稜線歩き、山歩きである。

 縦走路は剱岳同様尖った岩峰である富士ノ折立を右に巻いて続いている。にっしゃん一人で富士ノ折立登頂を目指す。残り二人はそのまま素通りして大汝山へ向かう。今回の登山で最高峰の大汝山の頂上は縦走路のすぐ左上なのでザックを下ろしてから登頂。ここも大きな岩がゴロゴロした頂きである。ここからは槍ヶ岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳を望むことができる。

 順調な稜線歩きで雄山神社本宮に到着。多くの人で一杯である。室堂から近いだけあって観光化されている山である。峰本社内部では巫女さんも居り、土産品も売っている。鳥居をくぐって頂上御本殿までは祈祷料込みで500円である。雄山からは東側の眼下には氷河認定されている御前沢雪渓が、南側に黒部湖の奥部が垣間見ることができ、その先には有名な山々が眺望できるので方位盤で確認する。

早朝の内蔵助山荘展望所で 左から八ッ峰、朝日岳、白馬岳、白馬鑓ヶ岳、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、針ノ木岳、北岳、燕岳→
真砂岳に登頂→ 真っ青な空をバックに富士ノ折立と雪渓→ 真砂岳をバックに広々とした尾根歩き→
内蔵助氷河と山荘と奥に剱岳→ 富士ノ折立に向かう→ 大汝山頂上→
雄山神社峰本社 祈祷料が必要→ 授与所の様子→ 方位盤がある雄山の一等三角点→
雄山から槍ヶ岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳の遠望→ 笠ヶ岳、黒部五郎岳、雄山、薬師岳→

 雄山からの下りは急勾配の上、本日は土曜日であるためか上りも下りも観光客、登山者で数珠繋ぎである。ルートが上り、下りと異なるため何とか大渋滞までとはならない。おかげで休み休み下ることができる。鞍部の一ノ越/一ノ越山荘に到着すると体力のあるにっしゃんが計画通り浄土山経由で室堂に降りようと提案する。ここからの下山は以前に歩いたルートでもあるし、渋滞を避けるためにも一緒に行くことにする。もりごんさんは右に折れて直接、室堂に下ることにする。

 登りは直線的な道であるのでストックを補助にゆっくりと登っていく。登山者は激減する。途中の岩場で休憩してからやっと登りきると浄土山南峰で広い広場となっており、櫓と共に富山大学立山研究所がある。左の五色ヶ原~薬師岳へのルートには龍王岳がそびえている。右に折れて眼下に室堂平を眺めながら緩やかに下っていくと前方に浄土山北峰が見えてくる。

 浄土山北峰は近くの岩に赤いペンキで「山」と書かれただけの頂上である(ここが北峰か確認せず)。その北側には石積みで囲われた場所があり軍人慰霊碑跡らしい。下山するには来た道を少し戻らなければならないので適当に見当をつけて先に進んで行く。しかし下山道には合流せず、道を失ってしまう。まあ下界は見えているので心配はないがハイ松と岩のせいで少しうろうろする羽目になった。山では労力を軽んじてはいけない。(笑)

 下りの道は急坂で大きな岩がゴロゴロした所を歩かなければならない。上りは足を大きく上げないといけないから大変だろうと思うが結構登ってくる人達がいる。後半に雪渓を3度横断すると石畳の緩やかな下りとなるがここからもダラダラと石畳道は続く。一ノ越しへのルートに合流して左に折れると室堂に到着。全行程を終了。お疲れさん。\(^o^)/

 昼食の時間であるが携帯食も飽きたし面倒なので2階にある「ホテル立山」のレストランで食事(アルペンカレー/1400円)することにする。ごく普通のカレーにしては結構な値段である。1階にはリーズナブルな価格の食事処はある。

 後はバスとケーブルカーを乗り継いで立山駅に無事帰着。千寿荘で一風呂浴びてからアイスクリームで体を冷やし、帰宅の路につく。帰りの高速走行時、富山市付近からずーっと雨が降り続く。登山中に降られずに本当にラッキーであった。これも日頃の行いが良い為か?(笑)

一ノ越から雄山を振り返る→ 浄土山南峰への途中で振り返ると左奥に剱岳→ 浄土山南峰 左に行くと五色ヶ原へ→
五色ヶ原に向かう方向に龍王岳が→ 右に折れて浄土山北峰に向かう→ 浄土山北峰?確認せず  奥は雄山頂上→
ごつごつした岩場を急激に下っていく→ 雪渓を3度横断すると急坂は終わり→ 浄土山分岐 一ノ越へのルートに合流

 3日間とも安定した天気で有名所の山々であるため山小屋も環境が良くて気持ちの良い登山ができた。梅雨明けしたばかりでタイミングが良かったのかもしれない。

注記) 立山三山
 雄山、最高峰の大汝山、富士ノ折立を立山三山とする呼び方。これを一山と見なし、浄土山、立山(雄山)、別山で立山三山と言う事も有る。

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