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【日 時】 | 2005年7月27日(水)〜31日(日) |
【山 名】 | 北ノ俣岳 2661m、黒部五郎岳 2839.6m、三俣蓮華岳 2841m、丸山 2854m、双六岳 2860.3m |
【山 域】 | 北アルプス山系 |
【天 候】 | 28日晴れ、29日曇り後雨、30日曇り後晴れ、31日晴れ |
【メンバー】 | 白馬夫婦、西、知加良、ISO208、鷹崎、揖場、Mickey-son 8名 |
【コース 】 | 1日目(28日) 折立(1360m)8:25→展望台(1871H)10:00〜:15→ベンチ(1920m)10:30→ベンチ(2011m)11:00→五光岩ベンチ(2133m)11:30→太郎平小屋(2330m)12:50 2日目(29日) 太郎平小屋6:10→太郎山(2373m)6:20→神岡新道出合(2615m)8:05→北ノ俣岳(2661m)8:15→赤木岳(2622m)8:50→中俣乗越(2450m)9:45→黒部五郎岳肩(2780m)11:40→黒部五郎岳(2840m)11:55→黒部五郎岳カール(2610m)12:40〜13:40→黒部五郎小舎(2345m)15:15 3日目(30日) 黒部五郎小舎6:10→三俣山荘分岐(2720m)7:45→三俣蓮華岳(2841m)8:30→丸山(2854m)9:10→中道分岐(2800m)9:45→双六岳(2860m)10:15〜:35→中道分岐(2680m)11:10→三俣山荘分岐(2665m)11:15→双六小屋(2545m)11:35〜12:30→くろゆりベンチ(2590m)13:30〜14:00→花見平(2595m)14:15→弓折分岐(2565m)14:30→鏡平山荘(2285m)15:30 4日目(31日) 鏡平山荘5:40→ししうどガ原(2095m)6:20→チボ岩(1810m)7:10→秩父沢橋(1740m)7:35→林道(1475m)8:15→ワサビ平小屋(1402m)8:45→笠新道出合(1350m)9:10→車止め(1080m)9:50→新穂高バスターミナル(1090m)10:00 |
心配していた台風が早めに通り過ぎた後、大阪23:27発夜行急行「きたぐに」で富山駅4:40に到着。ここで思わぬハプニング発生。仲間の一人が富山駅で下車せず滑川まで乗り過ごしてしまった。我々はとりあえず5:10発の富山地鉄の直通バス(要予約)で狭い有料林道(1800円/普通車)で渓谷を縫った後、有峰湖(ありみねこ)横を通過して約2時間で折立(おりたて)登山口へ。ここで朝食を取りながら後続のバス(1時間遅れ)で来る乗り過ごした人の到着をしばらく待つ。折立口は小屋への荷物搬送の基地となっているのか頻繁にヘリコプタが発着している。バスで団体客も続々と到着する。トイレも2ヶ所有り。
折立小屋奥の巨木の横から上り始める。しばらくは大きなぶな林の樹林帯を足慣らしを兼ねてゆっくり登っていく。しばらくは涼しい環境のもとでの登りである。森林限界を抜けるとやがて展望台に出る。ここからは視界が急に広がり道はガレ場となる。本日は台風一過、天気が良いため北側方面の展望はすこぶる良い。ここから太郎平(たろうだいら)小屋まで4.4kmの道のりである。道は浸食防止の処理がされ、良く整備された木道をほぼ直進的に登っていく。やがて石畳になり、あちこちに咲き終えたチングルマが毛をなびかせている。その他、ニッコウキスゲ、イワイチョウも花も咲かせている。2箇所目のベンチがある休憩所付近以降からは後方には有峰湖が、またはるか向こうには白山が望める。最後のベンチから太郎平小屋まで2.4kmと書かれている。絶好の登山日和、最高。やはり山登りはこうでなくちゃぁ。
太郎平小屋手前では再び木道となり、チングルマ、コバイケイソウなどの花の群生が見られる。すぐに小屋に到着。小屋の正面には薬師岳が威容を誇っている。南東方面には水晶岳、鷲羽岳(わしばだけ)、祖父岳(そふだけ)、雲ノ平(くものだいら)、北鎌(きたかま)尾根、三俣蓮華(みつまたれんげ)、黒部五郎、北ノ俣岳(きたのまただけ)などがよく見える。この雄大な景色を見ながらのビールは格別である。生ビールは900円、缶ビールは2200円/2リッタ、700円/500cc、500円/350cc。ラーメンもある。小屋の前のテーブルで初日の疲れをビールで癒し、昼食を食べる。
ガイド地図では太郎平小屋から往復で5時間程度と書かれていたため、時間があれば空荷で薬師岳に登るつもりであったが到着時間がずれ込んでしまったため残念ながら登頂を諦める。夕食まで時間があるためキャンプ場まで水浴びに行く。約20分ほど薬師岳登山道の木道を進み、少し下った薬師峠である鞍部にキャンプ場がある。ここには自炊場があり豊富に水が使える。冷たい水で体を洗う。しかし5秒ほどで手がかじかんでくるほどの水の冷たさである。小屋への帰り道、左手に特徴有る槍ガ岳の頭だけが見える。周りにはヨツバシオガマ、ニッコウキスゲなど咲いている。
小屋の裏にある太郎山は夕日が美しいと聞いていたので夕食後、見に登ることにした。道は緩やかな登りである。しかし残念ながら天気は崩れかけ雲が多く、残念ながらいまいちであった。
夜は我々グループだけの部屋(6畳)で宿泊でき、トイレは少しは匂いがするが水洗であり快適である。ひとりが押入れの中に寝ることになり、山小屋としては比較的ゆったりとして寝ることができた。後はいびきの合唱の中で初日の床につく。
2日目は昨日、あれほど天候が良かったにもかかわらず朝から曇り空である。小屋の東側を右折し、木道を歩き、昨日登った太郎山を経由して浸食防止を兼ねた階段状の道を過ぎた後、急なガレ場を登り、ピークを過ぎると稜線沿いにはハクサンイチゲの群生が左右に咲き誇り、その数に感動する。今が盛りである。ガスが掛かっている為、一寸先は闇である。後は黙々と歩くだけである。どうもまだ梅雨前線が停滞しているようである。左の斜面には雪渓が残っている。右手に神岡新道出合が現れてからは雨がぱらつき始め合羽を着込むことになる。10分ほどで北ノ俣岳に着く。チングルマも多い。少し下り、登り返すと赤木岳に到着。大きな岩ころの中を黙々と歩く。花も見当たらなく何の楽しみもない。中俣乗越も道標を確認するだけである。雨はやむがガスはかかったままで髪の毛から滴がしたたり落ちてくる。
ピークを2度通過すぎ、黒部五郎岳手前の急斜面のガレ場をジグザグに進むが西からの風も強くなり、体温が奪われる。ガスのため進路もわかり辛くなる。急道を登りきり、緩やかな道になると黒部五郎岳の肩であり、ここにリュックを置いて山頂を目指す。先ほどと同様なガレ場であるが5分ほどで山頂に到着。しかし相変わらずガスのため視界はゼロ。記念撮影をしただけで早々にリュックの場所に戻る。
稜線道を避け、カールに下りることにする。左手に100m程、尾根道を進むと道は右側に折れ、ジグザグに急激に下る。しばらく下った時に突然、周りのガスが切れ始め、下方にコバイケイソウの群落が見えると共に黒部五郎岳から急激に落ち込んだカール全体がその陣容を現す。巨大カールと共にコバイケイソウがその斜面一面に咲いている。壮観な眺めである。今までの疲れと景色が見えない欲求不満が吹き飛んでしまう。カールの底までジグザグに下って雪渓にたどり着く。雪解け水が実に気持ちよい。ここで黒部五郎岳で注文した弁当で食事とする。小さなちまきが3個とお茶で1000円と少し高いがおいしい。食事の後、この雪解けの沢沿いに下っていく。巨大な岩があちこちに点在している。3度ほど沢をクロスするとやがてカールに別れを告げ樹林帯に入る。
黒部五郎小舎は最近建築したのか比較的新しく、木の香りがする。しかし部屋の構成は最悪で我々の部屋は洗面所と便所の隣であり、おまけにリュックの置き場所すらない。しかもトイレは4つで男女一緒のため女性にとっては不便で多くの人達が並んでいた。しかしどうやって処理をしているのか判らないがトイレのにおいはまったくしないためトイレ環境は今までの山小屋の中で一番。
8畳の部屋に16人と言われ更に出入り口まで寝床を敷かないといけない状態のため文句をいおうと思案していたが、結局、入室してきたのは新穂高から一気に登ってきた夫婦2人だけで一安心する。この夫婦は旦那が100名山は達成。奥さんが富士山を残すだけとなった登山マニアである。500万円/人ほど掛かったと言っていた。夕食前の団欒は雨がぱらつき始めたため部屋の中で行い、夫婦と語り合う。ビールは550円/350ccの缶ビールしかない。後は持参したウィスキと共に時を過ごす。
夕食の料理が良いと聞いていたが今回の内容は今ひとつであり、期待していただけにがっかりである。上高地の経営者がここの経営権を譲ったと言う話を他の登山者から聞いた。やはり経営者の交代により食事が重視されなくなったのであろう。8時には就寝。
3日目も天気が悪く、夜はかなり降ったようである。出発前にも雨がぱらついていたため合羽を着込んで完全装備で出発する。小舎の横を通り裏庭の白い花をつけたコバイケイソウ(※小梅尅吹jの群生(今年は当たり年)を右に見てすぐに樹林帯の登りに入る。途中、ゆっくりコースと急登コースが3箇所分岐しているがいずれもすぐに合流する。その後、晴れるまではいたらないが天気は持ち直し、途中で合羽を脱ぐことにする。しかしガスはまだかかったままである。やがて森林限界を抜け、尾根に出るが相変わらすガスで周りは何も見えない。ここから右に折れ、這い松の中を尾根沿いに登っていく。ピークを過ぎると左手側が急激な崖となった道を慎重に歩く。何度かアップダウンを繰り返すと三俣(みつまた)山荘分岐(黒部乗越)に出る。左は三俣山荘への道、右側の道を進み、三俣蓮華にでる。ここは岐阜、富山、長野県の県境でもあり黒部川の源流でもある。道標には岐阜県と書かれている。頂上は広々としており、幾組かのパーティが登頂していたが展望を期待していただけにガスのため視界はゼロで残念。ハイマツの生えた高原風の中、ルートが判りづらい平らな道を抜け、丸山を経て直進は双六岳(すごろくだけ)と左は双六山荘への巻き道である中道(なかみち)との分岐に出る。折角なので双六山頂のルートを採る。雷鳥が多い所らしいが天候のせいか全然見かけず。ハイマツの中にハクサンシャクナゲがあちこちで花を咲かせている。
双六岳頂上でもガスがかかり、周りの景色は見えない。またもや失望。頂上はだだ広いガレ場の高原状となっており、下り道も広々としてどこでも通れそうであり、もやった時には道を見失いそうである。ケルンを目印にだらだら下っていく。少しガスは少なくなりかけて時折山々が見えるようになる。晴れた日には正面に槍が岳が見えるはずだが残念。やがて急な下りになると中道分岐、三俣小屋道が下方に見える。中道分岐、三俣小屋道分岐を過ぎ、しばらくすると双六小屋が下方に見えてくる。小屋手前ではトリカブト、クルマユリが咲いている。進行方向には樅沢岳、槍ガ岳への急勾配の登山道が見える。
双六小屋前のテーブルで昼食にラーメン(700円)を食べる。山の中とは思われない、具たくさんの内容でなかなかおいしい。そのほかにもうどん、カレー、牛丼(いずれも700円)、おでん(600円)もある。正面に鷲羽岳、その左に祖母岳が見える。昼食後、我々は右に折れ、小屋の横を抜け、大きな敷地のキャンプ場、池を右に見て登り始める。周りに木々が現れ始める。振り返ると黒部五郎岳のカールとまではいかないが双六岳からのカールが一望できる。
尾根筋に出ると左前方に槍ガ岳が見えるはすであるがまだガスがかかっており何にも見えない。
くろゆりのベンチ手前まで来ると槍ガ岳連峰にかかっていたガスが切れ始める。くろゆりベンチ付近で待つこと30分、槍ガ岳連峰が見え出した。久しぶりのすばらしい眺めである。他のグループも一斉に記念撮影モードに入る。右側遠くには乗鞍岳も見える。天気は急速に回復してくる。ここから鏡平山荘までは常に左側に槍ガ岳、穂高連峰を眺めながら徐々に高度を下げていく。花見平で雪渓を渡り、しばらくすると弓折岳分岐手前から鏡平山荘が見え始める。左に折れるとここからは急なつづら折の下りとなる。
鏡平山荘では3つある池の一番奥側で槍ガ岳が池に映る。仙人池小屋の裏剱と同様である。鑑賞のためのテラスで、しばし、その景観と素人の芸術作品撮影に没頭する。その後、小屋の前のテラスで座り込み、いつものように生ビール(700円)で団欒をしていると夕べ一緒だった夫婦が黒部五郎岳を登頂して帰ってきていた。夫婦共々すごい体力である。テラスでは天気も良いため他の多くのグループが多いに盛り上がっていた。夜は満点の空で久しぶりに天の川を堪能する。時折、遠くの雷のせいで閃きが走る。
ここの小屋には名物のかき氷が販売されている。
4日目は奥の池を通り過ごし、木道を下っていく。やがて岩ころだらけの登山道となり淡々と下るのみである。シシウドガ原では大きな雪渓が目の前に現れ、ここを左に折れ、沢沿いに下っていく。周りにいたどりが群生している。チボ沢で雪解け水で汗を拭き、見え始めた槍ガ岳を左に見ながら更に下ると上流の雪渓のためか夏場しか架けられていない木道で秩父沢を渡る。夏場以外は迂回路がある。最後の木橋を渡り、林道用の橋と兼用の堰を左手に見ると後は大きなぶな、ならの原生林の中の林道をだらだらと下っていく。途中、左手に現れるワサビ平小屋(冷えたリンゴ、キュウリ、冷や麦など有り)で久しぶりに見るビンビールを注文、休憩した後、笠ガ岳への笠新道登山口を右に見て更に下っていき車止めゲートを通過、蒲田川の橋を渡ると新穂高のバスターミナルに出る。
ここの無料の温泉を避け、少し先の「ひがくの湯」で露天風呂に入浴し(700円)、温泉卵(50円)を食し、新穂高バスターミナルで交渉した9人乗りのジャンボタクシ(2万円)で高山駅まで出る。運転手の紹介で高山駅近くの店で飛騨牛の焼肉を堪能して15:42発の特急「ひだ34号」で帰路に着く。
今回は天候にあまり恵まれなかったが要所要所でガスが晴れ、それなりの景観が得られまあまあの登山であった。コース中は登山道沿いに色とりどりの沢山の高山植物が咲いており、花の多いコースであった。特に今年はコバイケイソウの当たり年であったようである。しかし台風の影響で上高地への入山ができなかったためかこのコースに登山客が集中し、各小屋は大変混雑していた。
今回のリュック重量は11Kg
太郎平小屋 野口五郎小舎 鏡平山荘
ひがくの湯:単純温泉、湯量:160リッタ/分、湯温:68.2℃
※小梅尅
和名の由来は、花が「梅」に、葉が中国産の「尢磨vに似ており、梅尅吹iバイケイソウ)より小振りなことからきている。根茎にアルカロイドを含み、有毒である。
花を咲かせるに十分な養分を必要とし、数年に一度しか咲かない。