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【日 時】 | 2011年7月25日(金)〜7月27日(日) |
【山 名】 | 仙丈ヶ岳(せんじょうがだけ)3030m 甲斐駒ヶ岳(かいこまがだけ)2967m |
【山 域】 | 南アルプス系 |
【天 候】 | 曇り |
【メンバー】 | 白馬、和田、今泉、ISO208、Mickey-son 5名 |
【コース 】 | 一日目(25日) 仙流荘(870m)14:10→バス移動→大平山荘(1960m)15::00 二日目(26日) 大平山荘5:40→大滝展望(2140m)6:25→5合目分岐(2535m)8:15→馬の背ヒュッテ(2640m)8:30→丹渓新道分岐(2705m)8:45→仙丈小屋(2900m)9:35→松峰分岐(2955m)9:45→仙丈ヶ岳(3033m)10:05→昼食(2960m)10:45〜11:35→仙丈小屋分岐(2950m)11:40→小仙丈ヶ岳(2855m)12:15→馬の背分岐13:05→2合目分岐(2215m)13:55→分岐(2120m)14:15→南アルプス林道(2050m)14:25→仙水小屋(2130m)15:15 三日目(27日) 仙水小屋4:20→仙水峠(2264m)4:45→駒津峰(2750m)6:20→甲斐駒ヶ岳(2967m)8:05〜:25→竹宇分岐(2950m)8:30→摩利支天分岐(2795m)8:50→六方石(2730m)9:15→駒津峰(2750m)9:55〜10:45→双児山(2643.6m)11:205→長衛荘(2030m)12:50→仙流荘14:00 |
1日目
久しぶりの夏山登山である。今回の登山は公共交通機関を利用するとアクセスが不便なため、車で6時に出発した。伊那インターチェンジで降り、市街地の中華料理屋(竜門)でボリュームたっぷりの昼食をとる。今日の予定は村営バスで大平山荘で下車し、宿泊するだけなのでビールを持ち込むことにする。天竜川沿いの国道153号線(三州街道)を進み、ホームセンターでクーラーバックと、缶ビールを5.1L買い込んだ後、国道361号から152号線(秋葉街道)で高遠を通過し、南アルプス林道に入る。名古屋手前ではすごい雨で明日以降の天気が心配されたが仙流荘に到着した時には時折、日差しが照りつけるまあまあの天気となっていた。南アルプス林道は自然保護のため一般車は通行禁止のためバス乗り場のすぐ前の河原に車を駐車し、バスの出発まで時間(14:10発)があるのでバス停留所の中で展示された資料を閲覧すし時間をつぶす。駐車場は十分スペースがある。
バス時刻表
仙流荘からは運賃1100円、リュック代200円の村営バスで移動、28人乗りのマイクロバスで出発する。全員座って運行されるがあふれても人数が多ければ臨時便も出るので心配はいらない。
バスの移動中は運転手から林道周辺の事柄(山々、花、蝶、クマなど)についてバスを止めながら色々ガイドしてもらえる。しかし鋸(のこぎり)岳、甲斐駒ヶ岳が雲に隠れて全く見えない。道路に小鹿が現れる。途中、車中で北沢峠は大雨とバスの運転手から聞かされ、気分的に落ち込んでしまう。しかし着いた頃には雨は上がって曇り空であった。
仙流荘全景 一番奥が温泉場→ | 村営バス待合所→ | 村営バス車内→ |
大平(おおだいら)山荘では宿泊客は20人程度で定員は80人のため十分にスペースがあり、ゆっくりと寝ることができた。トイレも清潔でほとんど匂わない。小屋の奥さんは愛想がよく、感じの良い印象を受けた。小屋の北側からは笠ヶ岳、穂高岳、槍ヶ岳などが見えるそうだが曇っており残念ながら全然見えない。19時消灯、5時起床で無理を言って5時半に朝食をとり、おにぎり3個の弁当と梅干の手土産をいただいて出発する。料金は昼食弁当込みで8600円。
大平(おおだいら)山荘→ | 大平山荘の寝室→ | 夕食献立→ |
2日目
予定されている藪沢新道は途中に雪渓が残っており、危険なため通行禁止となっていると聞かされる。。宿の主人から状況を聞くが雪渓が薄くなっており、水量の多い沢を対岸に渡り、雪渓の淵を歩かないといけない状態となっており、止めた方が良いと言われるがほんの10mぐらいの距離と聞いて決行することに決めた。大平山荘に泊まった登山客の中で我々以外は全員、沢コースを避けて北沢峠からの尾根コースに向かっていった。
夜中は満天の星空であったが当日は曇り空の中、小屋の奥の藪沢新道を入り込んでいく。しばらくは展望の無い針葉樹林帯の中をジグザグに登っていく。やがて鋸岳が右手に姿を現してくる。しばらくして甲斐駒ケ岳も見えてくる。大滝展望台の案内板を過ぎると、尾根に出た後、藪沢(やがて戸台川と流れ込む)に出ると前方正面に問題の雪渓が現れる。その雪渓はトンネル状になっていて上を歩くのは危険である。難所は雪渓のすぐ手前で水量の増した沢をどうやって渡るかだけである。大きな石を沢に投げ込み、これを足場として渡ることにし、何とか渡りきることができた。
藪沢を左岸に渡って沢沿いに歩く頃から登山道の右側の山手には色々な高山植物が目に入ってくる。写真を撮りながら、また冷たい雪解け水で首筋を冷やしながら上流に向かってゆっくりと高度を上げていく。左手(右岸)の高所から水が流れだしている滝を2カ所見て、5合目の藪沢分岐に到着。ここでやっと登山者を見かける。左は藪沢小屋へ。ここから右手に折れ、沢を離れ、樹林帯の中の急坂を登っていく。このあたりから高山植物を鹿から守るため網のフェンスが道の両側に設置されている。馬の背ヒュッテを過ぎるとすぐに三叉路の分岐となり、右は丹渓新道、我々は左に進む。峠道となり、はい松の中を進んでいく。シャクナゲも見かけるようになる。正面に仙丈小屋も見えてくる。
大平山荘奥の藪沢登山口→ | 鋸岳が見えてくる→ | 甲斐駒ヶ岳も見えてくる。→ |
藪沢新道→ | 藪沢の雪渓 この手前の沢を渡る→ | かなり高所からの滝が藪沢雪渓に流れ込む → |
→ | 甲斐駒ヶ岳と摩利支天→ | 5合目分岐に向かう沢沿い道 → |
コオニユリ→ | 甲斐駒ヶ岳と摩利支天が大きく見えてくる→ | 馬の背小屋手前の保護植物園→ |
馬の背ヒュッテ→ | 仙丈小屋が見えてくる→ | 丹渓新道への分岐 → |
仙丈小屋の手前でもたくさんの花が咲いており、また登山道にまで雷鳥の親子(子供が6羽ぐらい)が現れる。全然、人を怖がる気配がない。悠然とと登山道を横断して小さな沢に水を飲みに行っていく。ここで大平小屋で一緒だった山形から来たおばちゃん3人組と出会い、挨拶を交わす。どうも我々より速いペースで登ってきたようである。今晩の宿も同じ仙水小屋なので後れを取らないようにしたいものである。
小屋の北側に10機程の風力発電機のある仙丈小屋の前方には大きな藪沢カール(ガレ場で花は無し)があり、その手前で右に90度に折れる。階段状に整備したを道を登っていくが急坂である。風も強く、稜線に出ると分岐で、直進は地蔵尾根、松峰方面の道である。左に折れる。下からドンドン雲が上がってくる。頂上では北岳、間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、八が岳が時々、雲の流れ間から顔を出してくれる。右下には小仙丈カールが見える。
振り返ると甲斐駒ヶ岳と鋸岳が→ | 丹渓新道分岐を過ぎてからの仙丈小屋→ | 丹渓新道方面→ |
仙丈小屋手前の登山道→ | クロユリ→ | チングルマの群生→ |
登山道に雷鳥親子が現れる→ | 仙丈ヶ岳尾根より 仙丈小屋と甲斐駒ヶ岳→ | 仙丈ヶ岳山頂と大きな仙丈カール→ |
仙丈ヶ岳山頂と登山道→ | 仙丈ヶ岳と奥に鳳凰三山→ | 仙丈カールと奥に甲斐駒ヶ岳→ |
仙丈ヶ岳山頂から北岳を見る→ | 小仙丈ヶ岳方面を見る。後は鳳凰三山→ | 仙丈から甲斐駒ヶ岳を見る→ |
北岳と間ノ岳をバックに→ | 振り返って仙丈カールと小屋→ | 甲斐駒ヶ岳と鋸岳 → |
ここから右手に折れて、200から300m程行くと 竹沢長衛さんのレリーフがある、北沢駒仙(旧名 長衛)小屋が左手に現れる。右手の北沢の河原では色とりどりのテントが張られている。この沢はやがて広川原方面へ流れ、野呂川となる。鉄の橋を渡り、対岸に出ると左に曲がると、沢に沿った緩やかな登りとなり、いくつかの砂防ダムを通過。この北沢の水は御影石でろ過されたせいか非常に透明感があって美しい。何度か北沢をクロスし、やがて水車による発電装置を正面に見るとすぐに仙水小屋に到着。ここには太陽で水を沸かす、パラボラ状の装置もあった。この南アルプスの各小屋はいろいろ省エネに取り組んでいるようである。小屋の裏手にはテント場になっている。
仙水小屋ではやはり山形のおばちゃん達が我々より早く到着していた。しょっちゅう、あちこちの山に登っているおばちゃんの体力は凄い。仙水小屋は完全予約制で定員は30名、飛び込みは許されない。ここの夕食は小屋前の屋外テーブルでの食事となる。暗い小屋内で食べるよりは気分がよい。ビールを頼み(500円/350cc)、献立には今までの山小屋では経験したことのないお膳に載ったまぐろ、いか、ホタテの刺身が出る。しかし盛夏のこんな山奥で本当に大丈夫なのかと少し心配する。
食事が終わる頃には早々に食器の片づけに現れ 慌ただしいこと、このうえない。何か急き立てられるようで気分も悪い。更に仙水小屋の主人から明日は強制的に3時起床、すぐ朝食にすると告げられる。19時消灯。定員制の為、比較的ゆったりとしたスペースで寝ることができた。21時頃は昨日と同様に満天の空であったが23時頃からは曇り空となる。この小屋は夜になると灯に集まってくる蛾が異常に多く、地面には踏み場も無いぐらいに蛾が集まってくる。
朝食は布団の片づけが終わると同時に埃だらけの中に朝食が出され、これまた気分を悪くする。献立は納豆、シジミの味噌汁などが出て食事に関しては良い感じだけに残念である。料金は一泊二食で6500円でかなりお得感はある。
はるか下に北沢駒仙小屋とキャンプ場→ | 大滝ノ頭分岐→ | 竹沢長衛さんのレリーフ→ |
北沢の川原にあるキャンプ場→ | 駒仙小屋の前の橋をわたり左岸へ→ | 木道を渡り右岸へ → |
仙水小屋の夕食の献立→ | 仙水小屋の朝食の献立→ | 仙水小屋内部 |
3日目
少し雨がぱらついているがヘッドライトを頼りに暗闇の中を出発。何とか天気が持ってくれればいいのだが。樹林帯を抜けると大きな岩がゴロゴロしている賽の河原のような岩塊箇所に出る。この頃から空は白じんできて駒津峰と栗沢山との間の鞍部にある仙水峠に近づく頃には目の前に駒ヶ岳の摩利支天が、正面には鳳凰3山がその威容を現してくる。右は栗沢山、アサヨ峰への道である。左に折れ、再び樹林帯の中に入り、急坂を登っていく。はい松を過ぎるとかなり広々とした場所の駒津峰(こまつみね)に出る。
登頂後、同じ所(駒津峰)に戻ってくるコースの為、荷物を置いて登れるが、置き引き泥棒の話を聞かされていたため、結局、無精者の私だけがリュックを置き、空荷で尾根筋の直登コースを登っていく。処がすぐにハプニングが発生。私の登山靴のソール部分が剥がれかかってているのに気が付く。たびたびウレタンゴムの靴底が剥がれるのを聞いていたがわが身に起こるとは、この不運に天を仰ぐ。しかも念のためにと持ってきたバンドは生憎、置いてきたリュックの中のため、好意に甘えて和田氏にロープをもらい、応急処置で靴底を括り付けて登ることにする。はたしてソールはもってくれるのだろうか心配しながら登っていく。
この直登コースは花崗岩の岩稜でかなりの岩場が数多くあり、ペンキで案内されているが足の短い我々は登るのに苦労する。また大きな段差にも係わらず鎖、ロープ、梯子がまったく設置されていない。これも国立公園のためか? 時間をかけて苦労して登っていくが私だけが空荷のため楽して登っていく。
賽の河原風の登山道。奥が仙水峠 | ケルン横を入っていく | 雲海の中の地蔵岳 |
駒津峰 | これから登る直登コース全景 | 直登コースの巨岩 |
直登コースを振り返って。奥は駒津峰 | 鋸岳方面を望む | 右側に下山コースとなる巻き道と摩利支天を見る |
甲斐駒ケ岳山頂は広々としており、立派な石の祠がある。流れる雲の合間から鋸岳、仙丈ケ岳、北岳、間ノ岳、塩見岳、鳳凰三山が見える。5年前に北岳縦走した時、見た反対の風景である。残念ながら富士山は鳳凰三山の陰に隠れて見えない。帰りのバスの便も気になるので20分ほどで下山開始。甲斐駒ヶ岳ではあまり花は見られない。
下山は直登コースを避け、巻き道を選択。岩場でなく砂地で滑りやすい登山道である。岩が浸食されているせいか地層がはっきりと見て取れる。少し下ると分岐で直進は竹宇登山口方面と案内されている。右に折れ、魔利支天への分岐を左に見て更に下っていき、六方石(ろっぽういし)手前で合流する。直登コースに比べてかなり楽なコースである。甲斐駒ヶ岳は仙丈ヶ岳に比べて花は少ない。
甲斐駒ヶ岳からみる仙丈ヶ岳 | 甲斐駒ヶ岳山頂 | 甲斐駒ヶ岳山頂の祠 |
雲の中の北岳と間ノ岳 | 下りの巻き道(摩利支天方面) | 仙丈ヶ岳と小仙丈カール。藪沢小屋も見える |
前方に摩利支天 | 荒々しい花崗岩の岩稜 | 直登コースと巻き道コースの合流点 六方石 |
駒ツ峰で早い昼食をとる。仙水小屋では弁当は菓子パンしか用意してくれないのでみんな持参のカップめんを食する。山形のおばちゃん連中は早々に下山開始。
駒津峰からは緑のじゅうたんのようなはい松の斜面の中を、左手前方に仙丈ヶ岳を見ながら緩やかに下っていく。次に双児(ふたご)山の上りとなる。このころからパラパラと小雨が振り出す。しかし雲が薄いため雨具の準備もせず、進んでいく。双児山を過ぎた辺りからは雨も上がり、樹林帯の中を何の楽しみもなくドンドン下っていく。この道は意識的に登山道に小石を置いてあるのか歩きにくい。予定したバスの時間(13:00)が迫ってくる。なんとか10分前に北沢峠に到着。長衛荘前からバスに乗って帰途に着く。
駒津峰からの下り | はい松のじゅうたんの中を下っていく | 北沢峠 |
北沢峠バス停 バスは広河原行き | 戸台口行きの北沢峠バス停 |
登山靴は何とか持ち応えてくれてバスを降りた後、仙流荘の風呂(600円)に入りに行く時にパックリと靴から剥がれおちた。処置をした時には靴に腹を立てていたがこうなると本当に律儀な靴に感謝する。
さっぱりとした後、車で帰途につく。明石到着21時。走行距離は片道約400Km、5時間程度、高速料金は往復で13800円。
今回の登山は天気予報ではあまり良くない天候と予想されていたが全般に曇り空であったものの大した雨にも合わず、まずは良い登山であった。しかし今回のコースは日程的に頂上付近の小屋泊が無かったため御来光は全く無しで残念。いずれの山小屋も夜半は満天の星の時間帯があったが山間にあったため十分な視界が確保できなかったのも心残りである。