Mickey-sonのホーム→登山の部屋→遭難
- 滑落防止
- 急な方を登りとし、ゆるい方を下りにとる。難所は下るよりも登ったほうが事故の確率が低くなる。
- 岩棲帯を安全に通過するために、3点確保という岩登りの基本技術をマスターしておく。3点確保とは、右手、左手、右足、左足の4点のうち1点ずつを動かし、残りの3点は岩をとらえながら登り下りする。技術的なポイントとしては、まずは足場を探すこと。手のカは足のカに比べるとはるかに弱い。手がかり足がかりは、なるべく近い場所で探すこと。無理に足を上げたり体を伸ばしたりするとバランスを崩しやすい。足は膝の高さ、手はヒジが伸びきらないことを心がける。
- 鎖場はバランス保持のための補助として握る程度にして、足場をきちんと確保して登り下りするようにする。
- ひとりがハシゴを通過するまで、ほかの人は待っていること。
- 雪渓での歩行技術は、アイゼンを装着したときには、登りであれ下りであれ、アイゼンのすべての爪が雪面に刺さるように靴底を水平に置くフラット−フッティングが基本となる。雪渓の表面にはアイスクリームをスプーンですくったようなスプーンカットが無数についているが、その窪んだ箇所に足を置くようにして歩けば、足首への負担を軽減させられる。万一、アイゼンがない場合は、登りでは爪先を、下りでは踵を雪面に蹴り込むキックステップの技術を用いて通過する。ただし、慣れていないとスリップしやすく危険なので、とくに初心者はアイゼンを絶対に忘れないようにする。
- 雪渓は、その構造上、中央部と両端の厚さが薄くなっていて、過度の荷重がかかることによって崩壊してしまう危険がある。通過するときは、いちばん層が厚くなっている部分「中央部と側壁の間」を選んで歩くようにする。また、雪渓から雪のない箇所に出る地点は、日々、雪の状況が変化しているため、とくにルートを誤りやすい。実際、雪渓が終わったところからルートをはずれていってしまい、沢などに迷い込んで遭難するという事例もある。雪渓の終了点では踏み跡などをよく観察してルー卜をとり、間違えたと思ったらすぐに引き返して正しいルートを探す。
- 落石
- できるだけ上を見て歩く。上部に他グループがいれば可能性が高いため注意する。特に視界不良時は危険性が高い。
- 雪渓上での落石は落ちてくるときに音がしないので気づきにくい。まして苦しい登りで足もとばかり見つめていると、なおさら気づくのが遅れてしまう。雪渓で落石事故に遭わないようにするためには、たえず上方に気を配りながら行動すること。また、雪渓上ではなるべく休まないようにして、スピーディに通過しよう。もし落石に気づいたときには、すぐに「ラクッ」と大声で叫んで、周囲の登山者に危険を報せなければならない。
- 人為落石が起こりそうな場所を通過するときには、上にいる登山者の動きにつねに注意しながら、いつ石が落ちてきても対処できるような心構えをしておく。上の登山者と一直線上に重ならない位置にいれば落石を受ける可能性は低くなるが、石は岩に当たって方向を変えながら落ちてくるので絶対に安全だとは言いきれない。なるべくなら間隔をつめてしまったほうが、加速度のついた落石の直撃を受ける危険は少なくなる。上に大人数のパーティがいる場合は、落石の危険がなくなるまで、安全な場所にとどまってやりすごしたほうが無難である。
- 岩場やガレ場で落石に気づいたら、やはり大声で「ラクッ」と叫んで周囲に報せながら、岩陰などのできるだけ安全な場所に逃げ込もう。そばに安全な避難場所がないときは、落石から日を離さずに落ちてくる方向をよく見定め、瞬間的に身をかわすかザックに当てて防御するしか方法はない。
- 自分が落石を起こさないようにするには、岩場やガレ場での慎重な行動が要求される。多くの登山者に踏まれている一般コースは石の状態が比較的安定しているので、踏み跡を忠実にトレ−スすればいい。登山者が入っていない岩場やガレ場は浮石の巣となっているため、踏み入ると落石を起こす危険が高くなる。
石の上に足を置くときには浮いていないかどうかをよく見極めて、垂直方向にそっと加重しよう。手がかりとなる岩をつかむときも、静かに持って押したり引いたりしてみて、動かないかどうかチェックしてから行動に移る。
- 迷子
- 地図と磁石は必ず持参し、常に位置を確認する。
- 等高線の間隔が狭いほど傾斜が強く、広いほど傾斜はゆるくなる。等高線は高さや傾斜の読み取りだけではなく、尾根なのか谷なのかを確認する。尾根の場合は山頂から麓に向かって等高線がふくらみ。谷の場合は麓から山頂に向かって等高線がふくらんでいる。また、等高線が鋭角になっている尾根ならヤセ尾根であるということが読み取れる。
- 正しい道をたどるコツ
- コンパスで次の目的地を確認する。(登山口や山頂、下山口など)
- 距離を測り、目的地までの到着時問を予想する。(予想時間をかなりオーバ−しても目的地に着かない場合は、道を間違えている可能性が高い)。
- 地図を見てコースの状況を確認する。(尾根か谷か、なだらかな道か急斜面かなどを把握しておけば道を探しやすい)。
- 休憩のたびに現在位置を確認して、おかしいなと思ったらすぐにわかる所まで引き返す。
- 踏み跡が幾つかある場合は確実そうな道を後回しにする。可能性の低そうな分岐をまず進んでみると大抵すぐに道が無くなるから早く戻ってこられのですぐに他の道をトライできる。最後に残ったのが正しい道と判断できる。
- 斜面のトラバースではアウトコース側への巻き道は通常は無い。沢での巻き道はガレ場側には無い。
とにかく今来た道を引き返すことが原則。 1時間も歩いてきてしまったから今さら戻るのは嫌だなどと思わないこと! 少しくらい辛くても、引き返す勇気をもつことが肝心である。
今来た道もおぼつかない時は、尾根に向かって歩く。決して沢のほうに下らないこと!日本の山は尾根上に出れば、歩いているうちに必ず道にぶつかる筈。
仲間を残して道を探す時に、藪山などでは歩いてきた方向がわかるように赤紐を木に結んだり、木の枝を折ったりしておく。
- 凍死
- 低体温症は体の深部温度(体表温度ではなく内部臓器の温度)が下がり、活動に異常が起きる状態を低体温症という。深部温度は体表温度より2、3度高く、その深部温度が36℃以下に下がると低体温症の症状が現われ始める。この低温というイメージから、冬山に限定されたものと考えがちだが、夏山でも多くみられる。とくに、高山で雨や強風に見舞われると急激に体温が低下する。低体温症への最初の反応として、ふるえが起きる。さらに進行するとふるえは停止する。
- 最初は、動きがふだんより緩慢であったり、周りに無関心であったり、過度に疲労していたりと、兆候はわかりやすい。
- 衣服を着せて保温に努める。お湯を沸かして、湿度の高い暖かな環境を作る。さらに首の周りや腋の下、足の付け根などの太い血管がある部分を暖めると効率的な加温処置である。ただし、急激な加温は絶対避けること。手や足などに疲労物質を伴なった冷たい血液が残っているため、急に循環を再開するとその危険な血液が心臓に入り込み、死亡する可能性もある。きわめてゆっくり、保温に近い程度の加温に努めなければならない。
- ビバーク時は、風や雨を避けられる場所にツェルトを張り、服は持っているものを全部身につけ、ザックなどを敷いて、体が直接地面や雪面に接しないように注意する。バラバラにいるよりも全員が体を寄せ合った方が保温効果は高い。脱水症状になっても感じないことが多いので、努めて水分をとるように心がけることが大切。
- 熱中症
- 執疲労は、高温環境で長時間運動したときなどに、皮膚血管の拡張によって脳などの重要器官への血液供給が低下するために起こる。
脱水や塩分不足も原因のひとつ。脈が速く、立ちくらみがしたり、頭痛、めまい、吐き気、失神などの症状につながる。手当としては、すずしい場所へ移動させ、衣服などをゆるめる。足を高くして血液を重要器官へ集めるようにする。意識があれば、食塩を含んだ飲み物(生理食塩水など)やスポーツドリンクを与える。回復は早いが再発しやすいので、充分な管理が必要である。
- 熱射病は、発汗の異常が原因である。暑熱環境で動き続けるとだんだん汗をかかなくなり、皮膚が乾いて、しまいには体温調節ができなくなってしまう。体温が40.5℃以上になると急速に錯乱、失神という状態に陥り危険である。
- 日射病は直射日光の下で長時間運動したときに起きる。体温調節がうまく機能しなくなり、心臓から血液が送り出しにくくなる。血圧が低下し、脈が速くなり、頭痛も訴えるようになる。
- 熱射病、日射病ともに、すみやかに体温を下げる努力をする。ぬれタオルや水筒などを使って首、わきの下、足の付け根などの太い血管がある部分を冷やすと効果的。手当てが遅れると、脳障害のために後遺症が残ったり、死に至ることさえある。
- 熟痙攣は、高温下での筋肉の痙攣であるが、原因はくわしくわかっていない。しかし、塩分欠乏が一因であることはわかっている。処置としては、塩分を含んだ水分を摂取することである。
- 増水
- 増水の危険がある箇所に差しかかったときに少しでも不安を感じたら、無理して強行突破しようとせず、引き返す。
- なるべく流れがゆるやかで水深の浅いところ、川幅が広く、下流に滝や急流のない場所を選んで渡ることが大前提となる。目安の水量は膝下ぐらいまで。それ以上の深さになると流される危険が大きくなるので、渡ってはならない。
- 徒渉のテクニックは、斜め下流に向かってスリ足で渡るのが基本。ストックや木の枝などを杖代わりにして、上流側に突き立てながら渡るとより安定する。メンバーが2人または3人いる場合は、ザックのショルダーベルトをおたがいの脇の下のところでつかみ合って渡れば、おたがいに支え合うことができてより安定感が増す。
- 万一、流されてしまったときは、頭を上流にして仰向けの状態のまま、下流方向をよく見て足で岩や倒木などの障害物を避けながら、しがみつけるものがあればしがみつく。
外傷を保護できるようなものを持っていると良い。カットバンはすぐに取り出せる所に入れておくと、岩場などで擦り傷を作った時にも便利。大判の三角巾が2枚あれば、頭などの包帯を巻きにくい所でも覆う事が出来て非常に便利だが、使えないと困るので出発前に使い方を覚えていくと良い。包帯、包帯止め、ネット、保護ガーゼも外傷を保護するために持っていく。伸縮性のある包帯ならば巻きやすいし、ずれにくい。ネットがあれば頭や関節など包帯の外れやすい所を押さえられるので便利。湿布は余分に持っていくと良い。
- 止血法
傷口から、真っ赤な血液が勢いよく噴き出しているときや、赤黒い血液が大量に流れ出している場合には、大出血があると判断して直ちに止血を行う。
- 傷口の圧迫
最も有効な止血法は、傷口を直接圧迫することである(直接圧迫法)。傷口を圧迫するには、ガーゼ、ハンカチ、タオルなどを傷口に当て、その上から手のひらで押さえる。このとき、力いっぱい押さえる必要はなく、血が止まる程度に押さえればよい。
- 包帯や布の利用
手や足など、包帯が容易に巻ける部位の傷口では、ガーゼやハンカチの上から包帯、三角巾、タオルなどで傷口を巻いて圧迫する。 このとき、血が止まる程度に圧迫すればよく、あまり強く巻かないように注意する。
- 止血帯
傷口が大きくて圧迫止血が困難な場合や、圧迫により十分な止血効果が得られない場合は、上肢や下肢では、止血帯を巻く。三角巾、タオル、スカーフなどは、5センチメートルくらいの幅にたたんで使用する。
まず、傷口よりも心臓に近い部位に、止血帯を固く二重に巻いて半結びにする。次に、スパナや堅い棒などを結び目に置いて、本結びにする。棒を回して血が止まるまで止血帯をしめあげ、そこで固定する。止血帯は30分に1回はゆるめて血流の再開を図る必要がある。
- 熊
クマがこちらの存在に気づいていない場合は、ゆっくり後ずさりをして、その場を立ち去る。大声を上げたり、あわてて逃げ出すのは禁物。クマが近づいてきたときは大きく腕を振り、おだやかに声をかけて、こちらの存在を知らせること。人だと認識すれば、クマのほうから逃げていくはずである。
威嚇行動をとったときも、おだやかに声をかけながらゆっくり後退する。3〜4m以内に迫ってきたら、一気にクマ撃退スプレーを噴射。スプレーがなければ、防御姿勢(うつぶせになって、首の後ろで両手を組む)をとって、攻撃をやり過ごすしかない。このとき、ザックを背負っていればそれが背中のプロテクターになる。
昔からよく言われる「死んだふりをする」のは、興味を示したクマに引きずり回されたりすることもあるので、かえって危険である。
- サル
群れに近づくとサルは警告の鳴き声を発するので、鳴き声を聞いたらそれ以上は近づかないようにして、その場でしばらく待つ。そのうちサルのほうから離れていくはずである。サルの群れにばったり遭遇してしまったり、いつの間にか取り囲まれていたときには、うろたえずに毅然とした態度をとること。サルが疑似攻撃をしてきたときに背中を見せて逃げ出そうとすると襲いかかってくるので、じりじりと後退しながら距離をとるようにする。後退するときは、自分を大きく見せるために手足を広げたり、ストックなどを横に構えたりするといい。ぶつけないように注意しながら石を投げるのも効果的。ある程度、距離が離れれば、サルは攻撃をしてこなくなる。
- イノシシ
イノシシが近づいてきたら、ゆっくり後ずさりを。なおも近づいてきたら、ザックをその場に置き、イノシシが気をとられているすきに逃げ出す。あわてて駆け出したりしてはならない。石を投げたり、棒を振り回して抵抗するのも厳禁である。
遭難者事故比率
北アルプス近辺遭難注意場所
遭難場所の履歴です。参考にして下さい。(出典 山と渓谷社)
北アルプス
少し PDFファイル が重たいです。
北アルプス北部遭難箇所
北アルプス南部遭難箇所
剱岳のカニのヨコバイ、タテバイ
北穂高岳〜南岳の縦走路
穂高岳山荘〜奥穂高の岩場
前穂高岳の吊り尾根
西穂高岳〜奥穂高岳稜線
西穂高岳の独標付近
南アルプス
甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根、摩利支天
北岳の稜線、八本歯のコル
中央アルプス
宝剣岳山頂付近の北稜、南稜
駒ヶ根高原〜空木岳の池山尾根(大地獄、小地獄)
遭難保険